「いじめケース・スタディ −みんなで考えよう−」
                教師向け指導書




1.無視

@「無視」とはどういう状態をいうのか、自覚させる話し合いをしましょう

 いじめと明確に判断できないものに無視があります。
 あからさまに、被害者を無視するというのではなく、なんとない雰囲気で避けられている、会話をしても適当にあしらわれているといった印象を被害者に抱かせる事例です。

 表向き、会話にも参加させ、普段と同じようなふれあいをしているように見せながら、どこかで遠ざけている…。

 「無視」といういじめで、もっとも多いのはこうした表向きは軽微なものです。

 被害者にとっては、明らかに周囲の空気感が違い、「おかしいな」と感じます。しかし、取り立てて、問題にするほどではない軽微なものであるがゆえに、被害者もいじめではないと納得しようとし、自覚できないケースが多いのです。

 ※児童・生徒たちには、無視とはどういものかを話し合わせ、軽微なものであっても、そこに意図したいじめが潜んでいる現実を自覚させましょう


A取り組みの仕方をそれぞれの立場で、話し合いましょう

 本作品の中では、最初の事例、無視に限らず、すべてのカテゴリーにおいて、被害者本人、周囲の人間、教師、保護者それぞれがどういう対処をすべきかを尾木直樹先生が丁寧に解説しています。

 生徒たちには、グループ討論形式などで、解説にある対処法が実際できるものかをまず話し合いましょう。

 その上で、
 ―実行する上では、どういう姿勢や取り組みが求められるか。
 ―実行できないとしたら、どこに問題があるのかを話し合いましょう。

 そうすることで、より現実的で、深い話し合いができます。
 また、それによって、いじめに対して児童、生徒一人ひとりがどう向き合えばよいかという考えを持てるようになっていきます。

 ※ここで大事なことは、建前やきれい事の発言で終わらせないことです。やろうと考えることは簡単でも、いざ実行するとなると、すぐにできないのがいじめ問題です。「すぐにできなくさせているもの」こそ、いじめ問題で議論しなくてはいけない課題です。


2.暴力

@どのような暴力でも暴力はいけないことから話し合いましょう。

 暴力で難しいのは、それが悪ふざけなのか、遊びの延長なのか、見分けにくいことです。しかし、悪ふざけにしろ、遊びの延長にせよ、暴力など相手を腕力でいたぶることはよくありません。

 最初は遊びのつもりの暴力がやがて、エスカレートして本当の暴力になったり、加害者は遊びのつもりの暴力でも、被害者にとっては身を切られるように辛い体験だったりします。そのことを子どもたちにまず理解させましょう。

 ※その上で、いじめとなる暴力とは何か、暴力があるとそれがいじめと言えなくなってしまうのは、なぜかを話し合いましょう。


A暴力は傷害罪という犯罪であることをわからせましょう。

 何にげなく自分たちが考えている暴力は、実は、相手に怪我を負わせることにつながる危険な行為であり、傷害罪として告発されるものだということを理解させましょう。

 暴力を背景とした威圧なども、脅迫罪などの罪になります。

 ※人権侵害の中でも、実際に身体に傷を負わせる暴力は、身体ばかりでなく、深く心を傷つけるものであることを理解させましょう。


3.携帯

@携帯メールや掲示板、ブログを使ったいじめをどう思うか、子どもたちで話し合わせましょう。

 携帯を使ったいじめが、いまいじめの8割りを占めています。しかし、その一方で、匿名性という隠れ蓑があるため、児童、生徒たちに、携帯での誹謗中傷がいじめにつながるという自覚が薄いのも事実です。

 自分たちがこれまで経験したり、見聞きした携帯をつかったいじめについて、自由に語らせ、そうしたいじめ被害に遭った場合、どのような気持ちになるかを話し合わせましょう。

 ※匿名性であるがゆえに、深く傷つく場合があり、見知らぬ悪意を呼び集めるものであること、形を変えた、危険な暴力であることを自覚させましょう。


A携帯を使ったいじめ被害の対処について話し合いましょう

 ネットにおけるいじめは、その加害者を突き止めるのに時間がかかったり、プロバイダーとの交渉など手間もかかります。

 また、一度、誹謗中傷がされてしまうと、そのデータが簡単に消せないという問題もあります。どこかで、別の噂や伝聞となって広がってしまうからです。

 ※大切なのは、ネットにおけるいじめの根絶を考えるのではなく、ネットとの付き合い方、ネットの健全利用の仕方、ネットと付き合っていく上での心構えをきちと話し合うことです。

 また、携帯の利用の仕方についても話し合い、どういう利用の仕方がお互いにとって有益であるかを考えさせましょう。

 学級、学年、学校全体でどのような取り組みができるかを子どもたちを主人公にして、話し合わせるのが、問題を解決する最良の方法です。

 なぜなら、児童、生徒の方がネットの中で何が起き、どういう問題を含んでいるかをよく理解しているからです。

 そうした視点で、子どもたちと話し合う姿勢が指導する側にも求められています。


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