『ネットの暴力を許さない』
      
      

―伝えたいこと―


 いま、中学校・高等学校での携帯電話の学校への持込禁止が全国に広がっています。また、プロフの開設を禁止する動きも加速しています。

 プロバイダーも重い腰を上げ、いじめや援助交際の温床となっている掲示板の運営停止や有害サイトへのアクセスをガードするフィルタリング機能を義務付けようとしていています。

 学校では、ネットの監視担当者を設けて、学校裏サイトやプロフを自分の学校の生徒たちがやっていないか、毎日監視するという作業までやっているのです。

 しかし、こうした規制や監視だけでは、ネットによる暴力は抑止できないというのが専門家の多くの意見です。

 携帯の利便性は、どこでも利用できるという点で、学校へ持ち込まなくても自宅など他の場所で使える以上、ネットを悪用することは簡単にできてしまいます。

 また、フィルタリングは、契約したその携帯だけにしか対応できません。さらに、購入する親たちに、ネットの使い方や現実的な情報がなく、知識がないため、SNSなどの形式だと、フィルタリングの必要性を感じなかったり、部活や塾との連絡のために、掲示板が必要だと主張すれば、それまで禁止することはなかなかできないのです。

 プロフの開設は、中学生で3割、高校生で5割という現状にもかかわらず、自分の子どもがプロフを開設していることを知っている親は、2割にも満たない状態です。

 つまり、携帯の盲点、大人の無知さがある以上、子どもたちは、自分たちだけの情報ネットワークをいかようにもつくり、ネットの暴力をやろうと思えば、やれてしまう環境があるのです。

 問題なのは、顔が見えないネットの世界を逆手にとって、ネットの暴力をしてしまう、子どもたちの心のあり方なのです。

 そこへの取り組みがなければ、ただ禁止する、規制するだけでは、膨大な情報の海であるネットの世界での暴力を抑止することなどできはしません。

 この作品は、子どもたちが、ドラマのネットの暴力を視聴し、出演した同じ中学生の子どもたちが、ロールプレーイングの形式で、自分たち中学生が、どうしてネットの暴力をしてしまうのか。それをしないためには、自分たちに何が必要なのかを話し合う姿、発言を通して、子どもたち同士で話し合い、問題点を認識し、解決への気づきへ導くために、制作したものです。

 いけない。悪い。ではなく、出演した子どもたちの生活実感としてある、様々な思い、発言に共感する中で、子どもたちの心のあり方を考えさせる内容となっています。


―あらすじ―


■プロフで人気者だった佐智子がある日…

 佐智子は、プロフのランキングに入り、学校中の人気者だった。

         
 
 だが、それをねたんだ真理江と由香は、佐智子のプロフにウソの書き込みをする。ちょっとしたいたずら気分だった二人。それが、やがて、二人も予想しなかったほど、勝手に増えていってしまった。

          
 
 やがて、学校中の噂になり、クラス全員が無視されるようになる佐智子。追い詰められた佐智子は、学校の屋上から飛び降り自殺を図ってしまう。

         


■しかし、今度は真理江が…

 佐智子は、一命は取り留めたが、一生歩けないかもしれない障害を抱えてしまう。やがて、犯人捜しが始まり、一緒に書き込みをした由香は、真理江に脅されてやってしまったと真理江だけを犯人にしてしまう。

         

 そのときから、ネットの掲示板で、真理江が誹謗中傷されるようになってしまう。

 由香にも裏切られ、クラスから孤立してしまう真理江。そして、佐智子と同じように自殺しようと屋上へやってくるのだが…。

         

■本気で話し合ってみよう

 ここまでのストーリーを振り返って、出演した子役の中学生たちが、「プロフ」「掲示板」などネットでのいじめについて、自分たちの身近な体験を通じて語り合います。

         


 ◎討論のテーマは―
   「プロフをやってしまうのは、どうしてなのだろう?」
   「ネットにひどい書き込みをしてしまうのは、どうしてなのだろう?」
   「知らない人まで、書き込みをしてしまうのは、どうしてなのだろう?」 
   「加害者だった真理江が、いじめられることをどう思う?」
   「それぞれの役で感じたことは?」
   「ネットの暴力を止めるために、自分たちでできることはないだろうか?」

■もう、終わりにしようよ!

 屋上から飛び降りようとした真理江を止めたのは、佐智子の「もう、終わりにしようよ!」という叫びだった。車椅子の佐智子は、クラスのみんなに問いかける。

「だれかを傷つけて、傷つけ合いっこして、だれが喜ぶの? だれが幸せになれるの!?」

 佐智子の言葉に、涙ぐむ真理江、そして、クラスの生徒たち…。

        

「こんなのおかしいよ!…。おかしいよ!!」

       

 佐智子の叫びが、生徒たちみんなの心に響き続けていた…。